サイレントシンガー 小川洋子著

書物と映像

”言葉で言わなければ伝わらない”は真実だろうか?

小川洋子さんの長編小説が久しぶりに刊行された。

彼女の小説を読むと、いつも静寂と、なにか淡々とした時間の流れを感じる。

諸行無常という気持ちになって、浮足立っていた気持ちがすっと楽になる。

沈黙を大切にするアカシアの野辺で育ったリリカの物語

歌というものの根源

リリカは歌う

羊が怖がらないように

亡くなった男の子が迷わないように

異国の地で、亡くなった祖父と孫娘に蝶が想いを運ぶように

リリカは成長して、歌を歌うことを生業としたが

そこには自分の歌で感動させるとか、自己主張はない

華やかではなく、こういったこともあるのだ。

「歌は分かち合う」こころに落ちた。

人間はしゃべりすぎていないか

みんな自分自身をしっかりと成り立たせようと、他と違う個性を出そうともがいている

アカシアの野辺は騒々しい情報や成功や流行り、お金、美食、愛憎から沈黙によって守られた場所

そこに身を置きたい気持ちも私にはある。

がしかし、 成功や名声やお金世俗を諦められない 

言葉を尽くして自分を語ることも諦めきれない

リリカが死んだ歳とそう変わらない年齢だと思うが、自分のこころも騒々しさに満ちている

このブログだって自己顕示やお金を意識して書いている

小川さんの物語は静かで、淡々と粛々とやるべきことをやる潔さ

不思議な空間で、でもどこかにある世界

とても静かで、強烈な憧れを感じる

我々の今の世には言葉が多すぎるのではないかとふと思った

言葉にしないとわからないを盾に

わかろうとすることを放棄していないかと思った

  

コメント

タイトルとURLをコピーしました